■Crypto Market News・崩壊した仮想通貨取引所のトップに懲役1万年の判決が下る、検察は4万年を求刑

トルコの大手仮想通貨取引所だったThodexの創設者であるFaruk Fatih Özer(ファルク・ファティ・エゼル)が、顧客の資金を持ち逃げし逃走を図ったとして、裁判により懲役1万1196年10カ月15日の有罪判決を受けました。

トルコの国営メディアであるアナドル通信社は2023年9月7日に29歳のエゼルとその兄弟であるGüven(グヴェン)とSerap(セラップ)に、それぞれ懲役1万1196年の懲役刑と1億3500万リラ(約7億3600万円)の罰金刑が言い渡されたと報じました。

Thodexとは?

2017年にKoineksとして設立された、トルコの暗号通貨取引所です。
2020年3月に社名を現行のものに変更したトルコ最大の暗号通貨取引所として成長しました。しかし、2021年4月23日、トドックスの創業者であるファルク・ファティ・エゼルがトルコから逃亡し、取引所のウェブサイトが閉鎖されたことで、Thodexは詐欺疑惑に巻き込まれました。

Thodexは顧客から預かった暗号通貨を詐取したとされています。顧客数は、約39万人に上り、被害額は約2兆トルコリラ(約1兆1,000億円)に上ると推定されています。

Thodexの詐欺疑惑を受け、トルコ政府はThodexの捜査を開始しました。また、トルコ中央銀行は、Thodexを規制対象の暗号通貨取引所から除外しました。

Thodexの詐欺疑惑は、トルコの暗号通貨市場に大きな打撃を与えました。また閉鎖により、トルコの暗号通貨取引量は大幅に減少すると共に、トルコ政府の暗号通貨規制を強化するきっかけとなりました。

その後の捜査により、エゼルは顧客から預かった2億5300万リラ(約13億7900万円)相当の資金を3つの秘密口座に送金し、アルバニアに逃亡していたことがわかりました。そして、国際刑事警察機構(インターポール)による国際逮捕手配書、通称「赤手配書」を受けたアルバニア当局により2022年8月に逮捕されました。

2023年4月にトルコに引き渡されたエゼルに対し、検察は「詐欺」「犯罪組織の設立」「犯罪による資金の洗浄」の罪で懲役4万462年の刑を求刑していたほか、この事件で立件ないし逮捕されていたエゼルの家族およびThodexの関係者ら20人もさまざまな容疑で訴追されました。

これに対し、エゼルは「私は世界中のあらゆる組織を管理できるほど賢いです。このことは、私が22歳で設立した会社を見れば明らかです。もし私が犯罪組織を設立するとしたら、こんな素人じみた行動はとらないでしょう」と反論して、自分と自分の家族は無罪だと主張しました。

そして、アナドル第9裁判所で開かれた9月7日の審理で、21人中17人が無罪となり、証拠不十分で逮捕されていた7人のうち4人が釈放された一方、エゼルらには前述の通り1万1196年の刑が言い渡され、無罪にならなかったそのほかの被告も有罪判決を受けました。

1万年もの刑期は度を超しているようにも思えますが、EUへの加盟を目指しているトルコは2004年に死刑を廃止しており、それ以降は重い犯罪に対して非常に長い刑期を言い渡すことが一般的になっているとのことです。