ゴールド価格予測

金価格XAU/USDは過去2日間に記録した週足の上昇を維持できず、水曜日の欧州市場時間帯でも狭いレンジ内で推移しています。米連邦準備制度理事会の金融緩和開始時期が不透明な中、米ドルは買いを集め、前日の下落の一部を取り戻しました。
これに加えて、リスク選好ムードが続くことで、金価格の上昇は抑えられています。

概要

目次

FRBの政策転換時期は間近？

FRBの政策スタンスが早ければ2024年3月に緩和に転じるという見方が高まっていることから、金価格の下落は限定的に思われます。実際、現在の市場は、利下げの可能性を織り込んでおり、来年末までに累計140bpsの利下げが行われる可能性が60%を超えています。これにより、米国債利回りは数ヵ月ぶりの低水準に低迷しています。
また、中東の紛争に関連する地政学的リスクへの懸念から、金価格の下方抵抗の少ない道筋を示唆しています。

しかし、米個人消費支出（PCE）コア価格指数の発表を金曜日を予定していることから、市場参加者たちは積極的な取引を控えています。米国の主要なインフレ指標はFRBの今後の政策決定に影響を与え、ドル相場を左右することで、金価格にも影響を与えそうです。
一方、消費者信頼指数とシカゴ連邦準備銀行オースティン・グールズビー総裁の演説があり、短絡的なトレード機会が生じる可能性もありそうです。

市場動向

・金価格、米PCE価格指数を控え、価格上昇の推移を延長しています。
・FRBが来年早々にも鷹派の立場からら脱却するとの見方が広がりつつあり、金価格にとって追い風となっています。
・シカゴ連邦準備銀行オースティン・グールズビー総裁は、FRBはすぐに利下げを約束しておらず、市場が望むことに左右されるべきではないと述べました。
・クリーブランド連邦準備銀行ロレッタ・メスター総裁は月曜日、金融市場は利下げ開始時期についてFRBより若干先を行っていると指摘しています。
・市場は、FRBが早ければ2024年3月に利下げを実施し、2024年に累計140bpsの利下げを実施する可能性を60％以上と見込んでいます。
・指標となる米10年国債利回りは4％の大台を割り込み、米ドルは先週つけた数カ月ぶりの安値のすぐ上で推移しています。
・米国の金利低下、中国の景気刺激策強化、日銀の政策への期待から、世界的なリスク選好ムードが続き、安全資産である金の上昇を抑制しています。

金のテクニカル分析

金価格は、週足の上値付近での値固めの動きを拡大しています。
技術的な観点からは、2,047-2,048ドルの領域を超えたさらなる買いが、ブルにとって新しいトリガーとなり、FOMC後の50日移動平均線（SMA）からの上昇を延長する可能性があります。その後、金価格は上昇を加速させ、2,072～2,073ドルの中間レジスタンスを目指し、2,100ドルを目指す可能性があります。

一方、2,018-2,017ドル付近が当面の強力なサポートとなりそうで、これを下回ると金価格は2,000ドルまで下落する可能性があります。2,018-2,017ドルを割り込むと、テクニカルな売りが優勢となり、現在1,989-1,988ドル付近に位置する50日SMAが露呈します。その後の下落は、XAU/USDを先週の安値である1,973ドル近辺に引きずり込み、現在1,957ドル近辺にある200日SMAを目指す可能性があります。

重要: テクニカルな見方に基づいた分析は参考として提供されており、投資の決定をする際には他の要素と併せて考慮してください。

今週の米ドル相場

以下の表は、本日の米ドル（USD）に対する主要通貨の変動率を示しています。米ドルは日本円に対して最も強かったです。

	USD	EUR	GBP	CAD	AUD	JPY	NZD	CHF
USD		-0.58%	-0.33%	-0.22%	-0.96%	0.99%	-1.02%	-1.08%
EUR	0.58%		0.26%	0.36%	-0.38%	1.56%	-0.44%	-0.50%
GBP	0.33%	-0.25%		0.10%	-0.63%	1.31%	-0.69%	-0.75%
CAD	0.22%	-0.37%	-0.11%		-0.74%	1.20%	-0.81%	-0.87%
AUD	0.95%	0.38%	0.63%	0.75%		1.93%	-0.06%	-0.11%
JPY	-0.99%	-1.60%	-1.31%	-1.21%	-1.98%		-2.02%	-2.08%
NZD	1.02%	0.44%	0.69%	0.80%	0.07%	2.00%		-0.05%
CHF	1.07%	0.49%	0.75%	0.86%	0.11%	2.04%	0.06%