■経済ニュース・UBSグループ、クレディ・スイスを約4300億円で買収へ

スイス政府が歴史的な買収を仲介

  • クレディ・スイス・グループを買収
    • スイスの銀行大手Union Bank of Switzerland(UBS)グループは、同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意しました。世界の金融市場に広がる恐れがあった信用危機を食い止めようと、スイス政府が歴史的な買収を仲介した格好です。

      買収は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換になり、合意には広範囲な政府保証と流動性供給が含まれる。クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億フランで、買収額はこの半分未満となります。

      スイス国立銀行(中央銀行)はUBSに1000億フランの流動性支援を提供する一方、政府はUBSが買収する資産から生じ得る損失に対し90億フランの保証を与えます。スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は、クレディ・スイス債約160億フラン相当が無価値になり、民間投資家がコストを負担することになると説明しました。

  • アジア市場の開場前に決着
    • スイス中央銀行のスイス中央銀行総裁は19日遅くの記者会見で、クレディ・スイスがシステム上重要な銀行であることを踏まえると、「迅速に行動し、できるだけ早く解決策を見いだすことが不可欠だった」と説明しました。

      米連邦準備制度理事会(FRB)と米財務省、欧州中央銀行(ECB)はこの合意を歓迎しています。両行とも米国で事業を営み、世界の金融システムにとって重要な銀行と見なされるため、米当局もスイス側と協力して関与しているとブルームバーグが先に報じており、当局はアジアの金融市場が始まる前に合意を見いだすことを目指していました。

  • UBSの歴史
    • Union Bank of Switzerland(UBS)の歴史は、1862年にスイス銀行業界において3つの銀行(Bank in Winterthur、Toggenburger Bank、Swiss Bankverein)が合併して設立されたことに始まります。この合併によって誕生したUBSは、スイス国内で急速に成長し、20世紀に入ると国際的な展開を始めました。1920年代には、UBSはドイツやフランスなどの欧州諸国に進出し、1939年にはニューヨークに支店を開設しました。

      UBSは、長い間スイスの経済界において中心的な存在であり、特に資産管理やプライベートバンキングの分野において世界的なリーダーの地位を築きました。しかし、1990年代には、UBSは複数の金融スキャンダルに見舞われ、その影響を受けました。2000年代には、経営再建を進め、証券取引や投資銀行業務などの分野においても力を付けました。